株取引で節税するには?損益通算と損失の繰り越し控除を使いこなす!

株式売買において、損失が出た場合には、次の3つの方法のいずれかで対処します。

確定申告をしないでそのままにするか、損益通算を行うか、譲渡損失の繰越控除を選択するかです。それぞれの方法について、ケーススタディも加えて詳しく解説します。

■株式売買における譲渡損失と税金

まず、株式売買において、譲渡損失が出た場合、税金の扱いはどうなるのかについて、基本を押さえましょう。

□税金はかからない

株式売買において、譲渡益が出た場合には、税金(所得税・住民税)がかかります。
一方、譲渡損失が出た場合は、税金はかかりません。

□税金を安くするための制度がある

ここから先は、複数の証券会社に口座を開設し、株式取引を行っている場合を想定しましょう。

一方の口座では譲渡益が出ているものの、他の口座では譲渡損失が出ているというケースがありうるわけです。この時、税金を払わなければいけない口座と払わなくていい口座が存在します。

納税の手続きを簡単にし、かつ、節税するための制度として、損益通算と譲渡損失の繰越控除の2つがあるので、順にご紹介しましょう。

■損益通算

最初に、損益通算について説明します。

□何をするのか?

同じ年度の株式取引において、譲渡益と譲渡損失が発生している場合に、これらを相殺し、相殺したあとの準額に対して税金がかかるようにする手続きです。

この手続きを行えば、節税になります。
例を出してみましょう。

確かに、納めるべき税金が少なくなっているのがお分かりいただけるはずです。では、損益通算を行うにはどうすればいいのでしょうか?

□確定申告が必要なケース・不要なケース

損益通算を行うには、申告分離課税を選択し、確定申告の手続きを経るのが基本です。しかし、次のいずれかに相当する場合は、確定申告は不要となっています。

・同じ証券会社の「源泉徴収ありの特定口座」内で取引している人。
・「源泉徴収なしの特定口座」で取引しいる、年収2,000万円以内の給与所得者(サラリーマン、OL)で、株などに係る所得が20万円以内である人。

この場合、証券会社が損益通算に係る手続きを行うので、自分で動く必要はありません。

■譲渡損失の繰り越し控除

譲渡損失が生じた場合に取りうるもう一つの方法が、譲渡損失の繰り越し控除です。

□基本

上場株式等、公募株式投資信託の売却損失については、毎年確定申告を行うことで、翌年以降最大3年間、損失を繰り越せます。これが譲渡損失の繰り越し控除です。

□どれぐらいの効果があるのか?

具体的な数値を用いて、節税効果がどれだけあるか見てみましょう。ここでは、2016年に出た損失を繰り越す場合を想定します。なお、「-」は赤字、「+」は黒字を表します。

3年続けられるので、節税効果はとても高いです。

■確定申告の手続き

それでは、確定申告を行う際は、どんな手続を行えばいいのでしょうか?流れを把握しましょう。

□基本的な流れ

1)1年間の取引の内容を確認しましょう。証券会社から年間の取引明細が送られてくるので、それを見ればすべてわかります。

2)ご自分が保有するすべての証券口座の損益を合計し、20万円以上の利益が出た場合、確定申告をしてください。なお、確定申告に当たっては、次の書類が必要です。適宜用意し、作成しましょう。

<自分で用意するもの>
・印鑑
・給与所得、退職所得、公的年金などの源泉徴収票
・特定口座年間取引報告書
・取引報告書など一年の取引の損益が計算できるもの

<税務署でもらうもの>
・申告書B(第一表・第二表)
・申告書第三表(分離課税用)
・株式等に係る譲渡所得などの金額の計算明細書(1面.2面)
・申告書付表(上場株式等に係る譲渡損失の繰越用)

書類の作成に当たっては、国税庁のホームページも参考にしましょう。PDFのダウンロードもできるので、ぜひ活用してください。

参照
株式譲渡益課税制度|申告・納税手続|国税庁
http://www.nta.go.jp/tetsuzuki/denshi-sonota/kabushikijoto/main.htm

□e-Taxも活用しよう

確定申告を行う際は、税務署に行くのが一般的でしたが、期限が近付けば近づくほど、混みあって手続きに時間がかかります。

日中は会社で仕事、という方には少々つらいはずです。

そこで、自宅からできるe-Tax(電子申告)も活用しましょう。パソコンとICカードリーダライタが必要になります。ICカードリーダライタは、家電量販店で3,000円程度で購入できるので、1台あってもいいでしょう。

その後の流れは、次のようになっています。
1)利用環境の整備
2)電子証明書の取得
3)開始届出書の提出
4)利用者識別番号の確認
5)各種ソフト等のインストール及び設定
6)申告書・申請書の作成・送信

詳しくは、e-Taxの公式ページを参照にしてください。

参照
【e-Tax】国税電子申告・納税システム(イータックス)
http://www.e-tax.nta.go.jp/index.html

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