株取引をして、配当を受け取ったり、売却益が出た場合、税金がかかってきます。
この税金は所得税と住民税からなりますが、それぞれ、どのように計算されているのでしょうか?
仕組をしっかり押さえ、適切な処理ができるようになるために、必要な知識をしっかり押さえましょう。
■株取引にかかる税金の種類
最初に、株取引にかかる税金の種類を押さえておきましょう。
□所得税
1年間の個人の所得(簡単に言えばもうけ)に対し、一定の割合で課せられる税金です。
所得を次の10種類に分け、必要な計算を行い、合計額について税金が課せられる仕組みです。
・利子所得
預貯金や公社債の利子並びに合同運用信託、公社債投資信託及び公募公社債等運用投資信託の収益の分配に係る所得。
・配当所得
株主や出資者が法人から受ける配当や、投資信託(公社債投資信託及び公募公社債等運用投資信託以外のもの)及び特定受益証券発行信託の収益の分配などに係る所得。
・不動産所得
土地や建物などの不動産、不動産の上に存する権利、船舶又は航空機の貸付け(地上権又は永小作権の設定その他、他人に不動産等を使用させることを含む)による所得(事業所得又は譲渡所得に該当するものを除く)。
・事業所得
農業、漁業、製造業、卸売業、小売業、サービス業その他の事業から生ずる所得。 ※ただし、不動産の貸付けや山林の譲渡による所得は事業所得ではなく、原則として不動産所得や山林所得となる。
・給与所得
勤務先から受ける給料、賞与などの所得。 ・退職所得 退職により勤務先から受ける退職手当や加入員の退職に基因して支払われる厚生年金保険法に基づく一時金などの所得。
・山林所得
山林を伐採して譲渡したり、立木のままで譲渡することによって生ずる所得。 ※ただし、山林を取得してから5年以内に伐採又は譲渡した場合には、山林所得ではなく、 事業所得又は雑所得となる。
・譲渡所得
土地、建物、ゴルフ会員権などの資産を譲渡することによって生ずる所得、建物などの所有を目的とする地上権などの設定による所得。 ※ただし、事業用の商品などの棚卸資産、山林、減価償却資産のうち一定のものなどを 譲渡することによって生ずる所得は、譲渡所得とはならない。
・一時所得
上記のいずれの所得にも該当しないもので、営利を目的とする継続的行為から生じた所得以外のものであって、労務その他の役務の対価としての性質や資産の譲渡による対価としての性質を有しない一時の所得。 例えば次に掲げるようなものに係る所得が該当する。
1)懸賞や福引の賞金品、競馬や競輪の払戻金
2)生命保険の一時金や損害保険の満期返戻金
3)法人から贈与された金品
・雑所得
上記いずれにも該当しない所得。
例えば次に掲げるようなものに係る所得が該当する。
1)公的年金等
2)非営業用貸金の利子
3)著述家や作家以外の人が受ける原稿料や印税
□住民税
公共サービスにかかる経費を負担する意味で、地方自治体が住民から徴収する税金です。株取引の場合、配当割、株式等譲渡所得割と呼ばれる部分が関連します。
配当を受け取ったり、株式を売却して利益を得た場合は、一定の割合で住民税として徴収されると覚えておけば大丈夫です。
■所得税の計算方法
所得税に関しては、計算方法により税率が全く違います。
どうやって計算するのか、見ていきましょう。
□分離課税
最初に、分離課税について説明します。
□基礎
特定の取引について、他の所得とは合算しないで所得を計算し、それに税率をかけて所得税額を計算する方法です。所得税額を計算式で表すと、次のようになります。
所得金額(※)×税率=所得税額
※所得金額= 収入金額―必要経費
この場合、所得額に関わらず、税率は20%(所得税15%、住民税5%)となります。なお、さらに復興特別所得税(所得税率×10.21%=1.5315%)がかかることにもご注意ください。
さらに、分離課税は次の2つに分かれます。
・申告分離課税:1年間の株式等にかかる売却損益を合計し、決められた税率をもとに、税金を支払います。確定申告が必要です。
・源泉分離課税:利益を受け取るごとに、税金が天引きされます。確定申告は必要ありません。
□総合課税
特定の取引を含め、他の所得と合算し、1年間の所得を全部とりまとめ、それに一定の税率をかけて計算する方法です。所得税額を計算式で表すと、次のようになります。
(所得金額(※)―所得控除)×税率=所得税額
なお、税率は課税所得金額によりかなり細かく決まっています。わかりやすく表にしてみました。
□結局、総合課税と分離課税のどちらが使えるか?
実は、金融商品の種類ごと・利益の種類ごとに、総合課税と分離課税のどちらが選択できるかは決まっています。株式について生じうる利益について、所得と課税方法についての表を作成しました。