インカムゲイン

■インカムゲインとは

株式投資の醍醐味の一つはインカムゲインを得られるという点にあります。

インカムゲインとは、配当金といった株を持ち続けることによって得られる収益のことを指します。

株主優待などもインカムゲインに含むと考える人もいるようですが、ここでは配当金のことを指していると考えてください。インカムゲインはキャピタルゲインとは異なり、安定して獲得することができるという魅力があります。

そこで、今回はそのインカムゲインを獲得する方法やその注意点について紹介します。

■現物取引でインカムゲインを獲得する方法

現物取引をしている場合、インカムゲインを受け取る方法はシンプルです。

権利付き最終日までに株を購入して、権利落ち日まで保有し続ける。ただこれだけです。

企業は年に1~2回ほど株主総会を開いて、企業が儲けた利益のうち、どれだけを株主に配当金として還元するのかを決定します。

しかし、株式市場で株の売買が常に行われているため、各企業の株主は日々刻々と変化していきます。そこで、企業は3月31日の時点で株主名簿に記載されている株主に配当金を渡すというようにある区切りを設定しています。

この株主としての権利が認められる日を「権利確定日」といいます。そのため、極端な話を言えば、権利確定日に株主になってさえいれば、わずか1日しか株を保有していなくても、配当金を受け取ることができます。

ただし、注意しておかなければならないのは、株主名簿に登録されるまでに2営業日かかってしまうため、3営業日前には株を購入しておかなければならないということです。

この3営業日前の日を「権利付き最終日」といい、その翌日を「権利落ち日」といいます。

権利付き最終日が終了した時点で株を持ってさえいれば、権利確定日に株主名簿に名前が登録され、配当をもらうことができるので、その翌日の権利落ち日に株を売却してしまっても問題ありません。

極端な話を言えば、権利付き最終日に株を購入し、その翌日の権利落ち日に株を売却するというようにわずか1日足らずのなんちゃって株主であっても配当をもらうことができます。

このように、現物取引を行っている場合、権利付き最終日までに株を購入してさえいれば、配当金をもらうことができ、またそのまま持ち続けていれば、そのまま何度も配当というインカムゲインを獲得し続けることができます。

投資家によっては、安定的に配当を出している企業に投資を行うことで、株価を気にせず安定的に利益を獲得するという投資スタイルをとっている人もいます。

■信用取引でインカムゲインを獲得する方法

信用取引を行ってインカムゲインを獲得する方法は、基本的には現物取引の場合と同じで、権利落ち日になった時点で株を保有していれば、インカムゲインを獲得することができます。

厳密にいえば、信用取引を行っている場合、証券会社から資金や株などを借りて取引を行っているため、株主になることはできません。

そのため、信用取引を行って自分で用意した資金以上の株を購入する場合、配当金は受け取ることはできません。

しかしながら、その配当金の変わりに「配当落調整金」を受け取ることができます。通常、配当が存在している場合、権利落ち日になると、配当を目当ての投資家が株を売ることによって、株価が下がります。

理論的には、現物取引を行っている株主は配当金を受け取ることができるので、インカムゲインとキャピタルゲインを考えればこの値下がりが生じたとしても、損失にはなりません。

しかし、信用取引の場合は配当を受け取ることができないので株の値下がりによって損が発生してしまうことになります。

その損失部分を調整するために、配当金の代わりに「配当落調整金」を受け取ることができるようになっているのです。

このように、信用取引を行っている場合においても、現物取引の場合と同様に権利付き最終日の終了時点で株を購入してさえいれば、「配当落調整金」という形でインカムゲインを獲得することができます。

■インカムゲインで儲ける時には「配当利回り」と安定性に注目

このインカムゲインで儲けることを考える際に注目すべき第一のポイントは、「配当利回り」です。この「配当利回り」とは、投資金額に対する配当金の比率のことを指します。

例えば、1株1000円の株が1株当たり100円の配当を出しているとしましょう。この時、配当利回りは10%となります。

当然ながら、配当利回りが1%しかない株よりも、5%の株の方が同じ投資金額でより多くの配当をもらうことができるため、お得です。

そのため、インカムゲインで儲けようとする場合には、必ず配当利回りをチェックして高配当株を探すようにしましょう。

第二のポイントは、配当金額の安定性です。配当は企業が必ず株主に渡さなければならないというものではありません。

企業が資金を配当として株主に渡すよりも、設備投資などに使った方がよいなどと判断してしまえば、配当を出さないことも十分にありえます。

そのため、せっかく配当利回りの高い株を買ったはずなのに、いつの間にか配当金が0円になっていたなんてことも起こり得るのです。

こうしたことを防ぐために、過去の配当利回りの実績を調べるようにしましょう。

例えば、京都きもの友禅という会社は2016年8月時点で配当利回りが約5%ありますが、2000年以降一度も配当金額を減らしたことがありません。

このような安定的に配当を出してくれる企業に投資を行えば、安定的に儲けることができます。

■信用取引を行う際の注意点:信用売りでは「配当落調整金」の支払いが発生

ただし、信用取引を行う場合には注意点が一つあります。それは、「空売り」をしている場合には、「配当落調整金」を支払わなければならないということです。

「空売り」とはキャピタルゲインのコラム記事で詳しく説明したように、証券会社から株を借りて売却した後に、株を買い戻して証券会社にその株を返却する、という取引を行う方法です。

「配当落調整金」を支払わなければならない理由は先ほどの信用買いをしている際に、「配当落調整金」をもらえる論理と全く逆を考えれば分かりやすいでしょう。

信用取引を行って株を売却している場合、その株の値下がりによって利益が生じることになります(キャピタルゲイン)。

しかし、このままでは株を貸した元の株主は配当金を受け取ることができずに損をすることになってしまいます。

このように、株の貸し手と借り手の間で不公平が生じないよう、「配当落調整金」として信用売りを行っている場合には支払わなければならないのです。

このように、「空売り」を行っている場合に、権利付き最終日までに株を買い戻さなければ、「配当落調整金」の支払いという形でインカムロスが発生してしまうことに注意が必要です。

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