安定操作取引

■安定操作取引とは

安定操作取引とは、企業が有価証券を発行し、その売り出しを円滑に行うために、自社の株の買い支えを行って、自社の株価を一定に保とうとする取引のことを指します。

ただし、一般的には、金融商品取引法によって、こうした株価が動かないようにするために意図的に売買の取引を行うことは相場操縦行為と呼ばれ、株式市場の透明性を低下させることになることから、禁止されています。

しかしながら、企業が株を発行し、資金調達をする際に、株価が大きく変動する状態や、企業が株を発行することによって株式市場での需給バランスが一時的に崩れ、急落するという問題が生じる可能性もあります。

こうした問題を回避するために、企業が株の発行・売り出しをする場合には一定の条件の下で、株価を安定させるために株を買い支えたりする行為が認められています。

■安定操作取引銘柄の投資への活用法

この安定操作取引をより簡単に言ってしまえば、新株を発行する予定の企業の株価が、新株発行価格よりも下落してしまった場合には、その企業が買い支えることによって、新株発
行価格と同程度、もしくはそれ以上にまで株価を高めるということになります。

例えば、A社が新しく株を発行して資金調達をしたいと考え、1株1000円で新株を発行することに決定したとしましょう。

そして、この時、株式市場では同じA社の株が900円で取引されていたとしたら、投資家はどのような行動をとるでしょうか。同じ企業の株が、株式市場で900円で購入できるにもかかわらず、より高い1000円を出して新株をわざわざ購入する投資家がいるでしょうか。おそらくそう多くはないでしょう。

そのため、A社は新株を発行したとしても、誰も購入してくれず、資金調達に失敗することになってしまいます。そうしたことを防ぐために、A社は自社の株を買い支えることによって、株式市場でも1000円、もしくはそれ以上の価格を出さなければ買えない、という状態に持って行く必要があるのです。

そうすることによって、初めて、投資家たちは株式市場からA社株を購入するのではなく、A社から直接新株を購入しようと思うようになり、A社も資金調達が達成できるということになります。

では、このことを踏まえると、投資家は安定操作取引銘柄を投資に活かすためには、新株の発行価格よりも株式市場での株価が下回っている安定操作銘柄を購入する、ということになるでしょう。

そうすれば、いずれは安定操作取引が行われ、株価が新株の発行価格と同程度になるまでは上昇していき、それによって売却益を得られる可能性が高くなります。

このように、安定操作取引が行われている銘柄をチェックし、その銘柄の株価が新株の発行価格よりも下回っていないかをチェックするということも投資を行う際には頭の片隅に置いておくことをお勧めします。

■安定操作取引が行われている銘柄を探すには

どの銘柄で安定操作取引が行われているかは、日本取引所グループのHP上の安定操作届出書等というページで探すことができます。

そこには、安定操作取引が行われている銘柄の名前と、新株の発行価格、安定操作取引を行うことができる期間などが記載されています。

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